一般的に言われている「つぼ」は、東洋医学では「経穴(けいけつ)」と言います。そのツボとツボを結ぶラインのことを「経絡」と言います。私たちが重視する「気・血」などの通り道がこの「経絡」となります。
1経絡の歴史
古来の人々は、身体に何かの症状が現れると、一定の変化が体表に現れたり、体表のある部位を刺激すると、一定の症状に効果が起きる現象に気が付きました。
その体験を通して経験を蓄積させるなかで、人体には法則的な現象があり、体内と体外をつなぐ経路のようなものがあることを発見しました。
身体の構造として考えられたこの概念は、長期にわたり医療として実践する中で学説として発展し、疾病の予防と治療の医療体系として確立しました。
経絡学説は「経絡」の流れや分布、生理機能や病理変化、そして経絡と内臓の関連についての学説です。特に鍼灸治療の理論として重要な考えとなっています。
2経絡の概念
経絡とは、「経脈(けいみゃく)と絡脈(らくみゃく)」の総称です。
「経」は「真っすぐな縦糸」の意味です。 経脈は人体を上下に流れる縦の幹線のようなもので経絡の基本となります。
「絡」は「糸でつなぐ」という意味で、絡脈は経脈同士を横につなぐ枝のようなものです。絡脈は横や斜め表層につながり、網の目のように全身に分布しています。
経絡は、内臓・筋肉・皮膚などの組織・器官と連絡し、全身に分布しています。
3経絡の機能
臓腑と身体の各部および体表をつなぐ「通路」
経絡には、内臓(臓腑)と身体各部および体表を連絡する通路としての役割があります。五臓↔六腑、臓腑↔身体各部、五臓六腑↔体表、のように経絡(↔)によって連絡しています。
このように、経絡が組織・器官を連絡することにより、生理物質を全身に運行し、病邪を伝え病態を反映するなどの機能を発揮します。また、臨床においてはこれらの機能を通じて治療効果を生み出しています。
3-1生理物質の通路
経絡は、エネルギーである気や血、水(津液)などの生理物質の通り道です。
3-2病邪が伝わり病態を反映する通路
例えば、カゼなどの外邪が体内に侵入すると、病邪は経絡を通じて体表から体内に伝わり波及します。また、体内の熱や炎症などの病理物質も経絡を通じて波及します。内臓の機能が失調すると、その反応が経絡を通じて体表の経穴(つぼ)などに病理的な反応が現れます。
3-3治療効果を発揮するための通路
経絡には、鍼灸の刺激を伝達する役割があります。鍼灸の刺激が経絡を通じて気血の調整を行い、弱った部分(虚)を補い、過剰な反応を(実)を沈めることが出来ます。こうして内臓を調節する作用があるため、鍼灸には治療や予防の効果があります。
4、経絡の構成
経絡は、「経脈(けいみゃく)」と「絡脈(らくみゃく)」により構成されています。
4-1経脈とは
「経脈」は正経と奇経の2つに大きく分類。正経には12の経脈があり、これを「十二経脈」といいます。奇経には8の経脈があり、これを「奇経八脈」といいます。
全身に分布する十二経脈は、陽経と陰経の2つに分けられます。
陽経は、陽明・太陽・少陽に分けられ、陰経は太陰・少陰・厥陰に分けられます。
『手にある3つの陰経は胸部と上肢前面』 『手にある3つの陽経は頭部・顔面と上肢後面』 『足にある3つの陽径は頭部・顔面』 『下肢外側に、足にある3つの陰経は胸腹部と下肢内側』にそれぞれ分布します。あわせて12の経脈があり、十二正経とも呼ばれます。
経絡には、十二経脈のほか、十二経別、奇経八脈、絡脈などがあり、経絡を通る気の種類には、営気、衛気、宗気、原気などがあり、循行する方向や順序には、様々な形式があります。
4-2十二経脈は臓腑につながる
陰経の経脈は、五臓(肝・心・脾・肺・腎・心包)につながり、陽経の経脈は、六腑(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)につながっています。各経脈はそれぞれが表裏関係にある臓腑と連絡しているため、十二経脈はそれぞれが臓腑の名称で呼称されています。
4-3十二経脈の気血の量
臓腑と経絡は、すべて表裏関係として対応しています。経脈の気や血の多少もまた表裏で対応しており、それによって相対的なバランスを保っています。
4-4体表に経穴が分布している
体表の経穴(つぼ)は、「気」の集まるところであり、経絡や関連する臓腑の反応が現れるため、診断点および治療点となっています。
5「絡脈」
今までお伝えしてきた「経脈」から分かれた枝が絡脈です。
絡脈には、十五絡脈と呼ばれる15本の大絡(別絡)があります。いくつかの絡脈は体内に深く入り関連する臓腑に連絡しています。この絡脈よりさらに枝分かれし、皮膚表面に存在するものを「浮絡・孫絡(ふらく・そんらく)」と言います。
6「十二経筋・十二皮部(じゅうにけいきん・じゅうにひぶ)」
経脈や関連する絡脈を流れる気血によって、筋肉や皮膚も正常に機能します。
何かの理由で経絡の流れに変調が起きると、筋肉や関節、体表の皮膚などに症状が現れます。
今回は東洋医学の中でも難しい「経絡」がテーマでした。古典『黄帝内経」などの記述をみても経絡には幅広い意味があります。経絡の概念に関する研究は、様々な論点や仮説があり、まだ多くの研究が必要な状況です。国家資格である鍼灸師用の教材の内容をふまえて、少しでもわかりやすく伝わるように作成しました。本ブログの解釈も一説として捉えてください。
個人的な解釈ですが、エネルギーは気・血液は血・リンパは水であり、その気・血・水(津液)の通路である経絡は、現代でいう神経・血管・リンパ管のようなものとイメージしています。
例えば、冷える・ストレスを受ける→内臓や自律神経が乱れる→経絡の流れが失調→体表の経穴(つぼ)に反応→経穴(つぼ)を刺激する→元気になる・血行改善・むくみ解消。といったように様々な要因により様々な経絡が乱れます。
全身の経絡を調整してバランスをとることが東洋医学の基本です。
父「中華街鍼灸院」の全身治療の流れを受け継ぎ、レストも全身治療を大事にしています。
院長 鈴木康博
