鍼灸とは

鍼灸(はり・きゅう/ しんきゅう)治療とはどういう治療なのでしょうか。

鈴木院長に聞いてみました。

 

鍼灸(はり・きゅう/ しんきゅう)とはどういう治療ですか?

鍼と灸、あん摩マッサージ指圧は、それぞれ刺激の種類は違いますが、ツボに刺激を加えることが目的です。
身体は外部から刺激を受けた箇所へ血液が集まる反射があります。
実際に鍼灸を受けると、血流の改善、白血球数の増加、体表温度の上昇などの変化がおきます。
その反射を利用し自然治癒力を高めるのが鍼灸治療です。

指圧マッサージは手でツボを圧迫します。表面のコリやむくみに対するアプローチが得意です。
鍼治療は細い針を使用しツボを刺激します。
深部のコリ、痛み、しびれに対して効果的です。 灸治療は、もぐさを用い温熱刺激をツボに与えます。冷えや内臓バテに効果的です。

鍼灸治療は刺激の特性と、同時に複数のツボに対して刺激を加えられるため、大きな変化が期待できます。
痛みの緩和、自律神経の安定、改善しなかった症状の変化など、多くの方が効果を実感しています。

鍼灸は皆さんがお困りの肩こり・腰痛・関節痛をはじめ、冷え症・便秘・アレルギー・耳鳴り・うつ… 適応症状はたくさんあります。
私が鍼灸治療で1番得意だと思っているのは「予防のための治療」です!
痛みやしびれはもちろん、倦怠感、気分が沈んだ状態では、生活の質が低下します。
ひどくなる前に定期的に解消していくことで、気分良く動きやすい体調になります。
現在、当院に通われている多くの方は、お困りの強い症状がきっかけであっても、結果的に養生のための治療に通われています。

 

鍼灸は中国から伝わったと聞きました。

健康維持・病気の改善を目指す伝統医学として、2000年以上前の古代中国で生まれました。
日本には5~6世紀ころ中国医学や仏教とともに伝来、7世紀ころ遣隋使・遣唐使が派遣され東洋医学が導入されました。

 

鍼灸治療はどのような感覚ですか?

鍼治療は温泉に近いイメージだと思います。入浴後のポカポカした血行の良い状態です。

その状態が長く続けば、自然治癒力(回復力)が高まった状態となれば効果的です。

例えばアルカリ温泉、炭酸泉、サウナ、岩盤浴… 温熱刺激に好みや相性があるように、また、様々な温泉の効能があるように、鍼灸マッサージの治療刺激も好みや効果に個人差があります。

湯船の温度を刺激の強さ、入浴時間を治療時間にそれぞれ例えると、1人1人違う「効果的な治療」をオーダーメイド出来るのが当院の特徴です。

無理に高い温度や長湯するとのぼせ(湯あたり)を引き起こします。治療もその方にとっての「ほどよい」を見極めるのが重要です。

 

鍼(はり)は痛いイメージがあるのです。

一般的な針のイメージは注射針だと思います。

注射針は液体を体内へ通す目的を持つため曲がらなく固いですし、先端が鋭利なため刺す時に痛みを感じやすいです。

一方、鍼治療用の針はツボへ刺激を与える目的の道具です。直径は0.2ミリ以下と髪の毛くらいです。血管に刺すことができないほど柔らかいです。針の先端は少し丸くなっていてほとんど痛みを感じないように工夫されています。

横浜 中華街 鍼灸指圧マッサージレスト 鈴木院長 鍼(1)
横浜 中華街 鍼灸指圧マッサージレスト 鈴木院長 鍼(2)
横浜 中華街 鍼灸指圧マッサージレスト鈴木院長 鍼(4)

日本では、江戸時代に鍼治療の技術が確立されたと言われています。
無痛鍼管と呼ばれる道具、より痛くない針の刺し方や、安全面など様々な工夫があります。

 

鍼は深くまで刺すのですか?

部位により変わりますが、ツボを刺激するには数ミリでも効果があります。

目的のコリや筋肉に到達させるためには、5ミリ、10ミリと進める場合もあります。
坐骨神経痛などの治療では、もう少し深く進める場合もあります。

 

お灸は皮膚が火傷(やけど)しますか

当院では温灸タイプを使用していますので基本的に火傷はしません。

もぐさを直接皮膚にのせて行う方法が古典的ですが、当院で使用する温灸は、もぐさと皮膚の間に空間があります。その空間をもぐさが燃える熱(輻射熱)で皮膚に刺激を与えるのが温灸治療です。

横浜 中華街 鍼灸指圧マッサージレスト 鈴木院長 お灸(1)
横浜 中華街 鍼灸指圧マッサージレスト 鈴木院長 お灸(2)
横浜 中華街 鍼灸指圧マッサージレスト 鈴木院長 お灸(6)

初めての方や敏感な体質の方のために40℃前後のマイルドな温灸から、しっかり強めのタイプまで4種類を用意しています。針の種類と同様に体質や症状に合わせて、より効果的な灸治療となるように使い分けています。

 

良く耳にするツボとは何ですか?

一般的にツボと呼ばれているポイントの正式名は「経穴(けいけつ)」です。

気血などが滞りやすい箇所がツボとなっています。
血管や神経が密集していることが多いです。
現在WHOでは361か所あると定められています。

ツボとツボをつなぐルートを経絡(けいらく)と呼びます。
臓腑と体表を結ぶ経絡は12本あります。(現在の臓器と解釈が異なる部分があります)
その経絡は気血の通り道、その経絡の途中で滞りやすいポイントが経穴(ツボ)です。

外科手術が行えなかった二千年以上前、体の外側の反応(ツボ)を刺激して、内側(臓腑)を整える目的で発展した東洋医学。ツボは内臓の状態を知る指標であり、治療ポイントとなります。

ツボは、生活・仕事・骨格・体質・遺伝… 要因によって反応には個人差があります。
正確にツボ(経穴)を見つけ、適切な刺激を加えることで、滞っていた気血水(津液)を巡らせます。(鍼灸師の腕の見せ所です)

例えると、線路や道路のラインが経絡、駅や渋滞しやすいポイントが経穴(ツボ)となります。
凝っている状況は、駅の混雑、道路の渋滞、通信速度の低下といったところでしょうか。体内で気血が滞ると痛みや不調につながります。

指圧マッサージは、指でツボを圧迫することで体へ刺激を与えます。
鍼では指の代わりに細い針を使います。直接、ツボへ針を刺すことで刺激を与えます。
お灸は、もぐさを用います。 熱刺激をツボへ与えることで刺激を与えます。

当院では、患者様のご希望と体質や体調を確認したうえで、より効果的な治療となるよう「鍼・灸・マッサージ」の組み合わせをご提案しています。

 

気血水(き・けつ・すい)とは何でしょうか?

東洋医学でいう「気・血・水」は、からだを構成する基本的な要素です。

私たちの体は「気・血・水」の3つの要素に過不足がなく、体内を滞りなく巡っていれば健康。これらが不足したり、滞ったり、偏ったりしたときに、不調や病気が起きてくると考えられています。

【気(き)】
目に見えない生命エネルギーのこと。血や水と結びつき臓腑や筋肉を動かします。
体調を自動調整する「自律神経」「内分泌系」の働きに近いと考えられています。
日本語でよく使う、元気・気力・気合いの「気」です。

【血(けつ)】
主に血液を指します。
全身に酸素や栄養、熱を運びます。
ホルモンバランスの調整、目などの感覚器の機能を正常に保つ作用もあります。

【水(スイ)※津液(しんえき)】
リンパ液、関節液、鼻水、唾液、尿など血液以外の水分を指します。
皮膚・粘膜のうるおい、関節の動き、発汗・むくみに関係します。
水分代謝や免疫力に大きな関わりがあります。

 

鍼灸についての情報サイトなどありますか?

鍼灸の効果などについて厚生労働省のホームページからも情報が紹介されています。
厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』

日本鍼灸会のホームページからも情報発信されています。
鍼灸の基礎知識

 

色々な箇所へ鍼を受けられるものですか?

肩・腰・手足はもちろん、腹部や頭部にもツボがありますので全身行います。当院では、眼精疲労や自律神経の安定などにも効果的なお顔や頭部への施術も行います。そのため色々な種類の針を用意しています。

長さや太さの違う8種類以上の鍼を患者様の体質や治療部位によって使い分けています。
もちろん、すべて使い捨ての針を使用していますので衛生面もご安心ください。

もし、行ってほしい部位のリクエスト、苦手な部位などもあれば遠慮なくお伝えください。

 

鍼は精神疾患などのメンタルの不調にも効果がありますか?

鍼治療は、うつ症状や適応障害など、ストレス原因の不調にも効果があります。

自律神経失調症と診断された、病院で検査をしたが問題がなく不定愁訴(しゅうそ)と言われた・・ いろいろな理由でお困りの方がいらしています。鍼灸治療を含む適切なケアやきちんとした養生で症状が改善するケースは多いです。

新型コロナウイルスの感染拡大期は、うつっぽい状態となり学校に行けなくなるお子さんが増えました。ご家族から相談を受けて鍼を試してもらったところ、数回の治療で学校へ行けるようになったと喜んでいただけたケースが多かったことを思い出しました。

 

鍼灸治療はどれぐらいで効果が出ますか?

治療直後に体調の変化を感じる方もいらっしゃいますが、鍼灸治療は皆様の自然治癒力を高めて回復するきっかけとなります。翌日や翌々日にじわじわ効果を感じる方が多いです。

定期的に続けることで鍼治療の効果が出やすい体質(自然治癒力により回復しやすい体質)になってきます。

 

治療を受けた日はどのように過ごすのが良いのでしょうか?

治療後は代謝が良くなっていますので、水分をしっかりとってください。
疲れることは避けて、ゆっくり過ごしてください。

鍼灸治療後の入浴は問題ありませんが、眠気やダルさがある時は早めにお休みください。

 

鍼やお灸を受ける前に準備などありますか?

治療直前の食事は避けることをお勧めしています。
食後は消化のため内臓に血液が集まります。血行を良くする鍼灸治療の前は、お腹も落ち着いた状態にしておいてください。

 

どれくらいの間隔で通うといいのでしょうか?

治療間隔は症状や患者様の体調により違います。

強い痛みの神経痛・ぎっくり腰など炎症を伴うケースでは、1~2日に後に続けて鍼治療を受けた方が早く改善します。

根深く強い症状を改善する目的ですと1週間以内に受けていただきたいです。症状が戻りきる前、治療効果が残っている状態で続けられると効果的です。

一般的には、治療しながら治療間隔を1週間に1度、2週間に1度・・と、間隔を空けていき、最終的には月に1回位のペースで、不調を予防する目的で通われる方が多いです。

 

女性の患者さんも多いのでしょうか?

当院の男女比は約半々です。

女性の方にも安心して鍼灸治療を受けていただけるように、専用のワンピース型の治療着を用意しています。
この治療着は必要な部位をファスナーやマジックテープで出せるようになっていますので、ご安心いただければと思います。

当院は鍼灸主任をはじめ女性スタッフがおりますので、担当のご希望がありましたら遠慮なくお伝えください。

 

女性特有の体質に合わせた治療などもありますか?

例えば、PMSや生理痛、更年期症状なども鍼灸治療で対応できます。

体質改善に定期的ケアが必要なケースもありますが、生理の約1週間前に治療を受けていただくことで症状が緩和することもあります。

鍼治療は、全身のホルモンバランスや自律神経を整える効果があります。生理中でも鍼灸治療を受けることはできます。不安点などあれば気軽にご相談ください。

 

妊娠中は治療を受けない方がいいのでしょうか?

妊婦中も治療は受けられます。

お母さんがリラックスし身体が楽になれば、当然お腹の中の赤ちゃんも喜んでくれるはずです。

負担のかからない姿勢で行う、安定期に入る前に強い刺激を控えるなど、気を付けて施術を行います。少しでも不安のある場合は、遠慮なく仰ってください。

 

妊活に来られる方もいらっしゃいますか?

全身の鍼灸治療はホルモンバランスを調整し、ストレスを軽減させます。体調を整えて妊娠しやすいコンディションにという目的で、治療を受けている方もいらっしゃいます。お灸の治療が特におすすめです。

 

最後に、良い鍼灸院の選び方を教えてください。

なかなか良い治療院が見つからないんだ~」というお声を以前よりも耳にします。

例えば肩・腰・膝など、その部位の痛みを治す目的の治療で改善される場合は、接骨院さんなどで行われている局所治療で良いと思います。

しかし、局所治療で痛みが取れない、痛みが複数ある、かばった負担によりバランスが崩れる、痛み止めのせいで胃腸の不調も・・ 全身治療が必要なケースは多いと思います。

そういった場合は、自由診療となりますが全身治療が行える、お近くの治療院を探すと良いでしょう。

全身治療は、例えば左腰の痛みを訴えてこられた患者様に対して、左腰の治療だけではなく、かばう反対側の右腰・不自然な歩き方で股関節~下肢の筋緊張・胃腸の反射でお腹の張り・慢性の首から背中のコリ・手にある腰痛のツボ、痛みのストレスで頭部もこり…と、からだ全体を診る治療です。

自覚のない方が多いのですが、痛みをかばい不自然な姿勢で仕事や生活をしていると、他の部位に負担をかけていることが多いです。

もし、その方に寝不足や疲労、メンタルを含めた体調不良があった場合には、同時にその治療も必要です。自然治癒力を高める治療と腰痛の回復に専念できるコンディションにしていきます。

この様に全身を治療範囲として捉えて、しっかりと根本の治療ができる治療院をお勧めします。

治療院選びの参考には、当院も所属している日本鍼灸師会のホームページで調べてみるのも良いと思います。通いやすく地域に根差した治療院が見つかるといいですね。

当院での勤務を経て、独立開業している先生をご紹介することもできます。よければ鈴木までご相談ください。

 

横浜 鍼灸指圧マッサージレスト 鈴木院長

鍼灸指圧マッサージ レスト
院長 鈴木康博